Rhinoは、特に挑戦的なプロジェクトで多くのユーザーの方に選んでいただけるツールになりました。2019年公開の中国のSF映画、流転の地球(The Wandering Earth)では本物そっくりの宇宙服を含め、多くの特殊アイテムや衣装がRhinoを使って実現されました。
メイン製作チームの1つ、Studio MDI が小道具のデザインや構造設計でRhinoをどう使ったのかや、映画の物理的オブジェクトを作り出し、撮影につなげた様子を教えてくださいました。
Li Jian は Studio MDI で宇宙服を担当したデザイナーで、チームはアニメーションとインダストリアルデザインとの共同作業だったと説明しています。
流転の地球 のようなプロジェクトでは、最初に監督と美術班が設定や参考資料を提供します。その後 Studio MDI と話し合いながら焦点はいくつかの手書き原稿に絞られ、監督の承認を得てインダストリアルデザイナーが作業に入ります。
Li Jian のコメント: "プロジェクトはいずれ俳優が身に付ける実物を作り出すことになり、多くのアクションやクローズアップと連携することにもなるため一般的に使われる従来の映画やテレビ業界のソフトは十分でなく、デザインのフォローにRhinoを使います。"
"2Dのスケッチを3Dモデリングにして使えるオブジェクトをどう作り出し、大きなスクリーンに自然な光と影、さらに細部まで映せるようにするかは大きな課題です。監督の非常に厳しい要求にも応える必要があり、SF小道具の極度な光と影の関係は監督のこだわりの目に左右されています。ですから多くの小道具、特に宇宙服のデザインのモデリングプロセスでは、Rhino 6 のSubD機能を多用します。Rhinoで基本ジオメトリとエッジをフィレットするコマンドを避けられるよう、丸みのあるエッジは可能な限り高次サーフェスを使い、巨大スクリーンで動かした時に自然な光を影の変化を映し出すことができるようにします。" Li Jian は続けました。
"宇宙服は俳優の体にフィットし、演技中の動きを妨げてはいけません。現実と同じように開発する必要があり、製品のように人間工学的視点から膨大な調査やテスト、見本の製造を続け、試作した宇宙服は俳優に試着を依頼し、どんな体格にも合わせます。ライト、通信、着用手順、換気システム等、クリアしなければならない機能がたくさんあり、基本的には実際の製品の開発プロセスに従っていますが、時間も予算も非常に厳しいですから、課題は本当に山積しています。"
Li Jian はこう言いました。"Rhinoを使って非常に多くの構造設計を自分達で行う必要があり、一番難しいのはトランスミッションの機械設計です。透明なカバーは撮影中に何度も開閉する必要がありますから、メカニカルトランスミッションを使って問題を解決する必要がありました。幸い、チームにはにはしっかりした機械設計がベースの工業デザインの経歴があり、デザインの作業中はRhinoのテクニカルサポートがギアセットを間に合わせられるようプラグインを提供してくれました。"
“他にも多くの機械構造があり、いくつかはカメラに映る必要がないとはいえ、関連する構造は実際の製品に準じてデザインされました。機械が専門ではない私達にとってまだかなり難しいですが、Rhinoでの干渉の検出やメカニカルトランスミッションのシミュレーションは非常に大きな役割を果たしました。”
"Rhinoは従来のアニメの特殊効果やエンジニアリングのソフトと違ってモデリングと実装の間ぐらいにあり、一番適切な選択です。Rhinoがなければ、この非常に困難なプロジェクトでこれほどの成功を収めるとは想像もできないでしょう。"
上の写真中央でテストを行っているのが Li Jian です。
Studio MDI は映画やテレビのフィジカルエフェクトをデザイン/制作するチームで、Li Jian の元教え子が設立しました。
この記事の画像は全て Li Jian および Studio MDI に提供していただいたものです。
原文投稿者: Yoko
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